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Posted by ミリタリーブログ at

2015年12月11日

クロアチア軍装基本のキ!(三)個人携行火器

3.クロアチア人勢力の個人携行火器

軍服・装具類よりも更に複雑怪奇を極めたのが銃器類です。

ak
7.62X39弾を使用するありとあらゆるAK系自動小銃が投入されました。

death
国産のM70自動小銃、ルーマニア製PM md. 63/65、そして中国製の56式小銃がその代表例です。
M70は「ライフルグレネードの発射機構が弾道に干渉するため命中率が悪い(高部正樹氏、ツイッターでの発言、2015)」、ルーマニア製AKMは「弾倉数個分を続けて撃つとバレるが溶ける傾向にあった(ロブ・クロット「傭兵 狼たちの戦場」)、2011」などそれぞれに悪評があったようです。


M70の他にも様々な小火器が古い兵器庫から持ちだされました。

M24
モーゼル系のボルトアクションライフルでは旧王制時代の制式小銃M24/47、その後継の人民軍戦後最初期制式小銃M48が大半でしたが、 中にはWW2当時ドイツから鹵獲した本物のKar98すらあったということです。
ロブ・クロット氏はM48の命中精度を激賞しています。

PPSh
短機関銃としてはトンプソン、PPSh-41、MP40、ユーゴ国産のM49、M57。

sarac
機関銃としてはM2HB重機関銃、M1919、ZB26、MG42やそのユーゴ版のM53シャラツが一般的でした。

rifles
ダブルバレルやポンプアクションのショットガン、ハンティングライフルといった多様な猟銃が投入されました。
市街戦では消音銃も使われています。

これらについても詳細はARBiHの項目をご参照下さい。
言うまでもないことですが、短機関銃や散弾銃はあくまで限定した都市戦闘に用いられるのでなければせいぜいが護身用火器といった扱いでした。
半自動小銃M59/66と同様にこれらの二線級兵器は射撃の下手な予備役の老人達に回されがちだったという証言もあります。

高部正樹氏もロブ・クロット氏もこうした小火器については射程の不足から評価に値しないものと捉えていたようです。
後者はVz61やソウドオフショットガンの部類を、飲み屋で粋がった憲兵が振り回す定番の危ないおもちゃだったとしています。

pistol
同じくただのお飾り・お守り・物騒な喧嘩の道具として語られているのが拳銃です。
ユーゴ製M57をはじめとする各国製トカレフ、チェコスロバキア製Cz52、Cz50、スペイン製スター9mmなど・・・ロブ・クロット氏は入手出来る中では最良の拳銃としてCz75を褒め称えています。
画像のように各種の回転式拳銃もありました。
ロブに言わせれば「ここの男たちは本当にピストルとナイフがすきだ」。
実用面はともかくとして、文化的な要素もあったようです。

SAR
外国製小火器は主にスロヴェニアを経由して輸入されていました(※画像は十日戦争時のスロヴェニア)。

G3
自動小銃としてはH&K G3、FAL、軽機関銃ではRPD、RPKなど・・・、

FAL
わけてもアルゼンチン製FALは命中精度がよいと評判で、米国人傭兵ロブ・クロットはユーゴでの活動中常に機会があれば入手したいと願っていたものの、一度FALを手にしたクロアチア兵は絶対に手放さないためついに叶わなかったと語っています。

SAR80a
少数ではありますがM16A2やUZI、ウルティマックス軽機関銃やSAR80自動小銃といったシンガポール製銃器、そしてヴェクターR4もよく知られている例です。
SAR-80は、射撃性能は優秀だが地面に落としただけでもストックが壊れるほど脆いと不評だったようです。

22
対戦車火器としてはスロヴェニアから提供された人民軍の各種兵器に加え、外国製RPG-7やアームブラスト・・・RPG-22も戦場写真によく登場します。

ロブ・クロットはボスニアでAK74を鹵獲した際「これこそロシアのスペツナズが関与している証拠だ」と感動したそうですが、ではクロアチアのソ連製火器はどうなのか?と考えると疑問符のつくコメントではあります。
まあ実際ロシア人義勇兵は沢山いた訳ですが。


参考文献
並木書房刊 高部正樹著 「戦争志願 アフガン・カレン・ボスニア最前線」
原書房刊 ロブ・クロット著「傭兵 狼たちの戦場」
ほか

Special thanks to Balkan Wars Living History Group

セルビやんこと林鳥巣 編訳・追補 


■ちなみに

今年2015年11月に開催されたヒストリカルゲーム「ボスニア199X」。
2016年に第二回開催を予定しています(日時未定)。
お問い合わせは以下メールアドレスまで。
yugowar199xアットマークgmail.com ※アットマークを@に変えて送信お願いします。
タイトルは「ボスニア199X:参加希望」とお書きください。
  

Posted by セルビやん at 23:01Comments(0)兵器

2015年06月15日

ボスニア軍装基本のキ!(九)ARBiHの個人携行火器

21.ARBiHの個人携行火器



兵器供給源を外部に依存していたARBiHは、その武装もまた極めて雑多で混乱した体系を持っていました。


敵対勢力とは異なり、主力小銃すら必ずしもユーゴ製M70AB2に統一されているとは言えない状況で、多種多様なAK系統の自動小銃が混用されていました。ルーマニア製が最も普及しており、次いでブルガリア製、ハンガリー製が多く見られます。

cetme
東欧以外の、特にイスラム諸国からもたらされた小火器としてはH&K G3やセトメなどのバトルライフル、RPDやRPKといった各種機関銃が挙げられます。

56
勿論ここでもAK系統の自動小銃は無視できない存在で、特にイランが供給した中国製56式自動小銃はその筆頭と言えましょう。

hqx
他の勢力と同様、M53シャラツ、MG42、MG34、M84、M72といったユーゴ製またはユーゴ国内で予備兵器として備蓄されていた機関銃も多用されました。
少数ながらZB26やDP28軽機関銃の存在も確認されています。

ultima
M16A1/A2、ガリルといった5.56mm自動小銃、ウルティマックス軽機関銃も戦場写真や映像記録には一応登場しますが、余り一般的とは言えません。
実戦でどの程度活躍したのかについては少々疑問符の残るところです。

MP5

ボスニア各地では多くの市街戦が繰り広げられ、ARBiHはその度に夥しい犠牲を強いられました。
あらゆる短機関銃と散弾銃がこの鉄と血の地獄に投入されましたが、主だったものとしてはサラエボの警察署から持ち出されたMP5、二線級兵器であったソ連製PPSh41、米国製トンプソンM1A1、ドイツ製MP40、その他M56やM49といったユーゴ製の短機関銃が挙げられます。
また深刻な武器不足に悩まされていた開戦初期のサラエボでは止むを得ず粗雑な簡易製造SMGで急場を凌いでいたようです。

shot
散弾銃は各種猟銃の他、警察用のモスバーグM500やレミントン870コピーが用いられていました。

sniper
狙撃銃としては22口径を中心に各種の猟銃、またスコープの有無を問わずモーゼル系統の軍用小銃やユーゴ版SKSであるM59/66半自動小銃が、またマークスマンライフルとしてM76半自動狙撃銃がありました。



強大な機甲戦力を持つクロアチア防衛評議会やスルプスカ共和国軍に対抗するため、ARBiHはユーゴ製の豊富な対戦車火器を備えていました。
M57、M79、またM80使い捨てロケットランチャーが都市と郊外を問わず拠点防衛や陣地攻略に活用されています。
諸外国からは9K111のようなソ連製対戦車ミサイル、また少数ながらカール・グスタフ無反動砲も供与されていたようです。


おなじみのRPG-7は主に中国製の69式やイラン製DIO RPG-7コマンドーが多用されました。

grenade
対戦車火器ではないものの、榴弾の投射手段としてはM59/66半自動小銃やM70自動小銃から発射可能なM68ライフルグレネードを中心に南アフリカ製のミルコ―MGLグレネードランチャーなどが実戦に投入されていました。



重機関銃はM2ブローニング、DShK、より旧式のブローニング1919、そしてユーゴ製の各種20mm対空機関砲が対地目標に対して恐るべき制圧火力を誇っていた事は有名です。



爆発物は手榴弾、成形爆薬、対人・対戦車地雷ともにユーゴ製が大半でしたが、中には諸外国のものも含まれていました。
こちらは国連の武器回収プログラム関連資料を当たれば詳しい情報に触れる事が可能です。


b1
長距離火力支援にはやはりユーゴ製を中心に各種60mm迫撃砲、連装ロケットランチャー、榴弾砲、対戦車砲などが用いられていました。

Balkan Wars Living History Group 著

セルビやんこと林鳥巣 編訳 


■ちなみに

今年2015年11月に開催予定のヒストリカルゲームボスニア199X、参加者募集中です。
お問い合わせ・参加のお申込は以下メールアドレスまで。
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2015年05月06日

セルビア軍装基本のキ!(十二)VRSの個人携行火器

M70

スルプスカ軍装を楽しむに当って、適正な個人携行兵器の選択は常にリエナクターや軍装サバゲーマーの頭を悩ませる問題です。
敵対する他の勢力に比べると、VRSは外国製兵器の装備比率が極端に低く、多くの場合純粋に人民軍から供給された国産兵器のみを使用していたからです。

M70

しかし、LCTの電動ガンを比較的安価に購入可能なわれわれ日本のリエナクターは(※実銃ベースのプロップガン所持が不可能な国の中では)その点恵まれているといえるでしょう。
今年に入り、台湾のエアガンメーカーLCT AIRSOFTはM70AB2タイプの電動ガンを発売しました。
何点か細部にディテールの甘さはあるものの、長年我々が待ち望んだ夢のアイテムであることは間違いありません。
万難を排して入手することをおすすめします。

ユーゴ版カラシニコフ、人民軍の制式小銃M70自動小銃は、まさしくユーゴ内戦における軍装の全ての基本です。

M70には幾つかの派生型が存在し、中でも最も大量に生産されたのがM70AB2とM70B1です。
M70AB2はスチール製アンダーフォールディングストックを備えたカービンタイプ、M70B1は固定木製ストックを備えたフルレングスのアサルトライフルでした。鍛造レシーバーの初期型M70や、より旧式のM64自動小銃とその派生型も内戦では使用されています。

papovka

ユーゴ版のSKSであるM59/66半自動小銃も使用されましたが、M70などAK系の自動小銃に比べれば少数でした。

M84

VRSほぼ全軍で使用された制式軽機関銃乃至分隊支援火器がM72軽機関銃とM84汎用機関銃です。
M72はユーゴ版のRPK、M84はPKMですが、バレルやフラッシュハイダー、ストックなどに原型となったソ連製とは異なる特徴を持つ銃器でした。



また、ドイツ軍MG42のコピー品であるM53シャラツも汎用機関銃として広く用いられていました。



狙撃銃としては多種多様なハンティングライフルに加え、ザスタヴァM48をはじめとする各種モーゼルKar98系統の軍用ボルトアクションライフルにスコープをマウントしたものの他、ザスタヴァM76/M77半自動小銃がありました。

拳銃はユーゴ製を中心に様々なタイプのものが存在しましたが主流はユーゴ版トカレフ、ザスタヴァM57でした。
また小型拳銃M70Aや、チェコスロバキア製の小型短機関銃Vz61スコーピオンとそのユーゴ版コピーであるザスタヴァM84も時折サイドアームとして使用されました。



対戦車火器としてはM80ゾーリャ使い捨て対戦車ロケット弾、大型のM79オサ対戦車ロケットランチャー、パンツァーファウストの発展型であるRB M57などが使用されていました。
対戦車地雷や対戦車手榴弾も、外国製を含め多種多様なものが使用されていました。

上記の銃器で、特に大きな改造なしに(少なくとも代用品としては)選んでも差し支えない、サバイバルゲームで実用可能なエアーガンがモデルアップされているのはザスタヴァM70(LCT)、Kar98K(タナカ他各社)、MG42(松栄、S&T)、M57(TT-33。KSC他)、Vz61(マルイ、KSC他)でしょう。


しかし、ユーゴ軍装のためだけに何万円もするエアーガンを新しく揃えるのはたいへんだという人もいるでしょう。
上記以外にも、かならずしも一般的とは言えないものの一応は受容できる、という範囲の銃器がいくつか有ります。

thompson

ミルコーMGL40mmグレネードランチャーや国産のザスタヴァM56短機関銃はモデルアップされていないので論外として、ユーゴスラヴィア人民軍で後備兵器として備蓄されていたM41(PPSh-41)やMP-40、トンプソン、また鹵獲したルーマニア製AIM/AIMSなどは、既にトイガンをお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか。

AIM

AIMSはCYMA社から安価なモデルも発売されており、他の軍装ジャンル(もちろん大抵は第三世界の軍隊か民兵集団に限られますが)にも応用できるので、軍装初心者には特におすすめできる選択肢と言えます。



PHSなどWW2関連のイベントに出入りしている皆さんは何かしら二次大戦時の小銃や短機関銃タイプのエアーガンやモデルガン、無可動実銃をお持ちでしょうから、それらのアイテムを活用されるとよいと思います。

手榴弾としてはM75及びM52グレネードがあり、それぞれM75はパイナップル型のグレネードBBボトル(※Mk2よりも丸い形状のものを探しましょう)、M50乃至52はM26A1型のグレネードBBボトルが安価でおすすめです。ただし、レバーの形状など異なる点もあります。
ユーゴはソ連製RKG-3のコピー品も生産していたため、そのレプリカを購入するのもよいでしょう。

ライフルグレネードも同じく入手困難ですが、アダプターについてはLCT社製レプリカがフラッシュハイダーとして販売されています。

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(※写真は訳者らによる仮装例です)

・おわりに

読者の皆さんは、当ブログ記事内はもちろん、海外の画像掲示板やYouTubeの動画、雑誌などで様々な個人装備を身につけたスルプスカ共和国軍兵士たちの写真を目にしてきたと思います。

装備を厳格に統制している一部の精鋭部隊を除けば、率直に言って個々人の軍装例の細かい違いに具体的な意味を見出すのは極めて困難です。

マガジンポーチは右につけるのか左につけるのか?
ベルトはどのくらい締めて、どんな種類のパーツをいくつ身に付けたらよいのか。
写真や動画で実例を観察したり、実際に身に付けてサバイバルゲームに出かけたりして、自己流のアレンジを楽しんで下さい。

一連のエントリーが、少しでも皆さんの軍装コレクションの助けになれば幸いです。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
・奥付

Balkan Wars Living History Group 著

林撫腔こと林鳥巣 編訳 



■ちなみに

今年2015年11月に開催予定のヒストリカルゲームボスニア199X、参加者募集中です。
お問い合わせ・参加のお申込はリンク先メールアドレスまで。
お待ちしております!  

Posted by セルビやん at 19:05Comments(0)兵器スルプスカ共和国

2013年08月10日

M80"ゾーリャ"64mm対戦車ロケット(二)



先日ZEEKケイホビー定例会にて、サバイバルゲームの合間に撮影して頂いた写真。



コソボ紛争時ユーゴスラヴィア連邦軍 地上軍憲兵装備をイメージした出で立ちで臨んだのですが、ゲーム中実際にメインアームにしていたMP5A2やかぶっていた黒ベレーはゲーム前に慌ただしく自撮りしたブレブレ写メのみにて省略。
要するにM80ゾーリャを構えたかっただけなので・・・。

■装備リスト
・M89ケブラーヘルメット
・M93迷彩服上下
・M77コンバットブーツ
・MD97ナイロントラウザーベルト
・MD97ウェブベルト+ホルスター
・MD97アサルトベスト
・M80ゾーリャ対戦車ロケット

いずれも官給品実物。






今後はスルプスカ軍やユーゴ警察装備、ボスニア軍などにも使い回したいですね。
(※画像はボスニア軍第5軍団の歩兵。1995年9月、ボスニア西部)



※追記:あす日曜のC84二日目、M80ゾーリャをコスプレ広場に持ち込んでみようと思います。
たぶんユーゴ軍M77夏季野戦軍装かテキトーにアルカン・タイガースの格好でもしていると思いますので、ゾーリャに触ってみたい方はどうぞ声をかけてやって下さい。  

2013年08月02日

M80"ゾーリャ"64mm対戦車ロケット(一)


ユーゴスラビア製の携帯式対戦車兵器といえばパンツァーファウストの直系子孫たるM57及びM58、仏製89 mm LRAC F1対戦車ロケットの改良版M79オサ、RPG-18の改良版M80ゾーリャ、それにM90ストルシュレンですが、


当ブログの主セルビやんはそのうちの一種類だけ、M80ゾーリャを所有しています。



・・・もちろん発射済の無稼働品ですが(笑)

日本語ウィキペディアにも項目がないので、以下簡単にどんなものか御紹介してみたいと思います。
文章構成はLAW M72ウィキのほぼ丸パクリです。



正式名称:64mm無反動砲M80
愛称:ゾーリャ
開発国:ユーゴスラビア社会主義連邦共和国
開発時期:1980年

かつての製造国:ユーゴスラビア
現在の製造国:セルビア、マケドニア
現在のメーカー:オクトーバー11 ユーロコンポジット(マケドニア)

使用国:
ボスニア・ヘルツェゴビナ
クロアチア
インドネシア
モンテネグロ
セルビア
シンガポール
スロベニア



M80ゾーリャ(Zolja=セルビア・クロアチア語「スズメバチ」)は、1発の成形炸薬弾を、2本の筒を1列につなげた発射器で梱包した構成である。
ソ連製RPG-18やチェコスロバキア製RPG-75同様、米国製LAW M72の影響を受けて開発された対戦車ロケット弾だ。



運搬状態では、ファイバーグラス製の発射器後部は同じくファイバーグラス製の前部発射器の中に収納されている。この状態では、発射器は防水容器の機能を持ち、また弾薬の点火系列は遮断されて安全に運搬できる。



発射器前部には上部に押し込み式のトリガー、折り畳み式の照星と照門、下部に後部ガス噴射口カバーがつく。発射器後部には点火装置が設けられている。

発射手順は以下のとおり。



(一)砲口カバーの口金を外す。ばね仕掛けにより自動的に照星が立ち上がる
(二)後部ガス噴射口の口金を外す
(三)後部を引き伸ばして展開する。このとき同時に照星カバーに押さえ付けられていた照星がばね仕掛けで立ち上がる。また、この時点で正常な装填状態になっていれば後部は引き出し限界位置で固定される。
(四)後部を肩に乗せ射撃姿勢をとる。照門と目との距離は10~15cm離す。
(五)照門後方の安全装置を引き出し解除する。
(六)標的に照準する
(七)照門前方の点火系接続ボタンを押す。これにより初めて発射可能な状態となる
(八)点火系接続ボタンの前方にある発射ボタンを押し、ロケット弾発射!



弾薬は口径64mmの成形炸薬弾で、PIBD信管と弾道を安定させる6枚の翼がある固定弾である。翼は弾底部にあり、ヒンジを介して前方に折り畳まれた状態で装填されている。射入角90度で最大300mmの鋼板を貫通する能力を持つ。自爆機能が備えられており、目標に命中しなかった場合飛行時間4~6秒で爆発する。



照準は、25m毎の目盛がついたプラスチック製照星を照門から覗き込んで行う。トリガーの前にある安全装置を解除し、トリガーを押し込むと弾薬に内蔵されている推進薬が燃焼して約760℃のガスを後方に噴射し、ほぼ無反動で発射される。



後方危険地域は軸線後方の左右30°距離40mの範囲で、発射時にはこの範囲に高温のガスを噴射する。一度射撃した発射器は次弾の再装填はできず廃棄される使い切り式である。



ユーゴ内戦ではユーゴスラビア軍及びユーゴスラビア軍から派生したスルプスカ軍、同じくユーゴスラビア軍から武器供給を受けていたクライナ軍及びその傘下の民兵集団は勿論、スロベニアやクロアチア、ボスニア、コソボ各民族の独立勢力も鹵獲及び購入(※セルビア人側の民兵集団は一部が大規模な武器横流しに携わっていた)優勢な機甲戦力を持つユーゴスラビア軍に対し多数を投入した。



現在でも旧ユーゴ圏やかつての非同盟諸国を中心に使用され続けている。


諸元
口径          64 mm
総重量(弾薬含む) 3.00 kg
重量(弾薬除く)   1.58 kg
弾薬重量       1.42 kg
運搬時全長     860 mm
発射時全長     1200 mm
最大貫通装甲厚  300 mm
最大射程 1280 m
有効射程(移動目標) 250m
有効射程(固定目標) 400m
銃口初速 190m/s


LAW M72に比べるとかなり長くて重いですね。


【民間での使用例】

1999年11月クロアチアでの犯罪組織による使用例(対立するクラン同士の抗争で使用。暗殺目的で発射されるも標的を外れ、無関係の市民1人が犠牲となる)


2003年3月セルビア首相ゾラン・ジンジッチ暗殺事件における使用状況(高速道路で待ち伏せ、首相の車列を狙う計画だったが、実行犯のひとりミレンコヴィチがトラックで車列を停止させる当初の手順を果たせなかったため失敗 ☓)

その他イタリアを中心にヨーロッパ各地で犯罪組織の密輸品が摘発されており、紛争地でもおそらく使用されているものと思われます。

ソースがインターネットの引用ばかりで雑な内容となってしまいました。
いずれユーゴ軍教範の該当項目を翻訳するなどした上で、ユーゴ内戦中の使用例動画や写真資料をもっと数多く集めて再度発表できたらいいなと思っております。

蛇足ですが、2本あっても仕方ないなということで1本はヤフオクに出品中です。
ご興味ありましたら、是非そちらも御覧下さい。


↑ 落札されました。御覧頂いた皆様、ありがとうございました。


おまけ:ボスニアのランボーネジャド・クリチッチさん



そのスネーク邪魔じゃないですかクリチッチさん。
M80ゾーリャ発射シーンは2:16あたりです  

2011年07月08日

ユーゴスラビア軍M59/85スチールヘルメット



前回に引き続き、ヘルメットネタで。
ユーゴスラビア軍M59/85スチールヘルメットです。
こちらも内戦中に使用された中古品。
「空軍及び防空軍」のヘルメットデカールが貼り付けられていますが、やはりその下には元来赤星のペイントが施されていたと思われます。

たまに赤星のペイントもヘルメットデカールも何もついていない、ただの素っ裸の個体も出てくることがありますので絶対とは言い切れませんが、勿体無いのでいちいち引き剥がして確認はしません(笑)。

サバゲーに使われる方も、別に防空軍のデカールが付いていたところで「オラNATOの侵略者どもの爆撃機ブチ墜とそうちう対空ミサイルの横っちょで警備してただけだっちうに やんだもう何か変な武装勢力が襲ってきただ とりあえずぬっ殺すべぇ」くらいに考えておけば何の問題もないかと(酷い説明)。


きれいなものですな。
前後がすぐわかるように、ライナーに矢印が書きこんであります。
間違えて怒られたことでもあるのでしょうか?
形状としてはフリッツヘルメット近似なので、そんなに前後を間違いやすいとも思えませんが・・・切り欠きが浅いから分りづらいのかな?

ライナーの仕様はM59/85ヘルメットもM89ヘルメットも共通です。
2点なのでサバゲで使うとチンストがズレます。
チンストくらい3点にアップデートしろよ、と思いますが、ソ連のM68スチールヘルメットと違ってライナーなしでも頭が痛くならない分まだかなりマシだと思います。




ODツナギのスルプスカ兵がとてもイケメンスマイルですね。
他方左のユーゴ兵は装甲車の後ろでマジビビリです。
敵近いですね。
M98アサルトベストを着ているので、アルバニア人勢力との戦闘だと思います。
どの局面かは忘れました。

右下はどっかのセルビア人武装勢力のおっさんですね。
グラサンベレーの若いのは何だかわかりませんが、おっさんは将校用の斜皮吊っててエラそうですね。


サバイバルゲームの装備としてはヘルメットなんか基本的には要らないワケですが、昔一度だけ命拾いしたことがあります。
勢い良く躓いて、むき出しになった鉄骨の突端に真正面から頭をぶつけてしまったのです。
チェコ軍のスチールヘルメットをかぶっていたので、一瞬気絶しただけで済んだのですが、唯の帽子だったら死んでいたと思います。

廃虚フィールドで遊ぶときは、この手の保護具もあった方がいいかも知れませんね。









  

2011年07月07日

ユーゴスラビア軍M89ケブラーヘルメット


ユーゴスラビア軍M89ケブラーヘルメット。
赤星のペイントを隠すように貼り付けられた「JA=ユーゴ軍」のヘルメットデカールは、1991年~1993年のごく短い期間に使用されたものです。


背景の国旗がソ連でスミマセン。
この写真を撮影した頃はユーゴやセルビアの国旗を持っていなかったもので・・・。


ライナーもキレイですね!
友人は米海兵隊のヘルメットライナーと換装して「ヤポニスタン軍ケブラーヘルメット」とかいう謎の存在に魔改造していました(酷)。


使用例。
正確な年代は忘れましたが、1992~1993年頃のスルプスカ共和国軍だと思います。



こちらは2001年プレシェヴォ渓谷危機、ユーゴ連邦軍の兵士達。
地雷ほじってますね。
ほか、後のコソヴォ紛争を経て現在でも二線級の部隊では未だ使用されているようです。


M89迷彩(MD89迷彩)のヘルメットカバー。
本来より肉の薄いM56スチールヘルメット用なので、すこしキツいです。
地上軍及び防空軍用。


同じく迷彩ヘルメットカバー。
こちらは軍ではなくMUPの治安部隊用です。

ほか、NATO迷彩(ウッドランド)のヘルメットカバーも存在します。
やはり2001年頃から現在まで使用されていますが、ユーゴ固有ではない=つまらない迷彩柄なので手放してしまいました(笑)。
PCのどこかを探せば画像くらい出てくると思いますが・・・。