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Posted by ミリタリーブログ at

2015年05月06日

セルビア軍装基本のキ!(十二)VRSの個人携行火器

M70

スルプスカ軍装を楽しむに当って、適正な個人携行兵器の選択は常にリエナクターや軍装サバゲーマーの頭を悩ませる問題です。
敵対する他の勢力に比べると、VRSは外国製兵器の装備比率が極端に低く、多くの場合純粋に人民軍から供給された国産兵器のみを使用していたからです。

M70

しかし、LCTの電動ガンを比較的安価に購入可能なわれわれ日本のリエナクターは(※実銃ベースのプロップガン所持が不可能な国の中では)その点恵まれているといえるでしょう。
今年に入り、台湾のエアガンメーカーLCT AIRSOFTはM70AB2タイプの電動ガンを発売しました。
何点か細部にディテールの甘さはあるものの、長年我々が待ち望んだ夢のアイテムであることは間違いありません。
万難を排して入手することをおすすめします。

ユーゴ版カラシニコフ、人民軍の制式小銃M70自動小銃は、まさしくユーゴ内戦における軍装の全ての基本です。

M70には幾つかの派生型が存在し、中でも最も大量に生産されたのがM70AB2とM70B1です。
M70AB2はスチール製アンダーフォールディングストックを備えたカービンタイプ、M70B1は固定木製ストックを備えたフルレングスのアサルトライフルでした。鍛造レシーバーの初期型M70や、より旧式のM64自動小銃とその派生型も内戦では使用されています。

papovka

ユーゴ版のSKSであるM59/66半自動小銃も使用されましたが、M70などAK系の自動小銃に比べれば少数でした。

M84

VRSほぼ全軍で使用された制式軽機関銃乃至分隊支援火器がM72軽機関銃とM84汎用機関銃です。
M72はユーゴ版のRPK、M84はPKMですが、バレルやフラッシュハイダー、ストックなどに原型となったソ連製とは異なる特徴を持つ銃器でした。



また、ドイツ軍MG42のコピー品であるM53シャラツも汎用機関銃として広く用いられていました。



狙撃銃としては多種多様なハンティングライフルに加え、ザスタヴァM48をはじめとする各種モーゼルKar98系統の軍用ボルトアクションライフルにスコープをマウントしたものの他、ザスタヴァM76/M77半自動小銃がありました。

拳銃はユーゴ製を中心に様々なタイプのものが存在しましたが主流はユーゴ版トカレフ、ザスタヴァM57でした。
また小型拳銃M70Aや、チェコスロバキア製の小型短機関銃Vz61スコーピオンとそのユーゴ版コピーであるザスタヴァM84も時折サイドアームとして使用されました。



対戦車火器としてはM80ゾーリャ使い捨て対戦車ロケット弾、大型のM79オサ対戦車ロケットランチャー、パンツァーファウストの発展型であるRB M57などが使用されていました。
対戦車地雷や対戦車手榴弾も、外国製を含め多種多様なものが使用されていました。

上記の銃器で、特に大きな改造なしに(少なくとも代用品としては)選んでも差し支えない、サバイバルゲームで実用可能なエアーガンがモデルアップされているのはザスタヴァM70(LCT)、Kar98K(タナカ他各社)、MG42(松栄、S&T)、M57(TT-33。KSC他)、Vz61(マルイ、KSC他)でしょう。


しかし、ユーゴ軍装のためだけに何万円もするエアーガンを新しく揃えるのはたいへんだという人もいるでしょう。
上記以外にも、かならずしも一般的とは言えないものの一応は受容できる、という範囲の銃器がいくつか有ります。

thompson

ミルコーMGL40mmグレネードランチャーや国産のザスタヴァM56短機関銃はモデルアップされていないので論外として、ユーゴスラヴィア人民軍で後備兵器として備蓄されていたM41(PPSh-41)やMP-40、トンプソン、また鹵獲したルーマニア製AIM/AIMSなどは、既にトイガンをお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか。

AIM

AIMSはCYMA社から安価なモデルも発売されており、他の軍装ジャンル(もちろん大抵は第三世界の軍隊か民兵集団に限られますが)にも応用できるので、軍装初心者には特におすすめできる選択肢と言えます。



PHSなどWW2関連のイベントに出入りしている皆さんは何かしら二次大戦時の小銃や短機関銃タイプのエアーガンやモデルガン、無可動実銃をお持ちでしょうから、それらのアイテムを活用されるとよいと思います。

手榴弾としてはM75及びM52グレネードがあり、それぞれM75はパイナップル型のグレネードBBボトル(※Mk2よりも丸い形状のものを探しましょう)、M50乃至52はM26A1型のグレネードBBボトルが安価でおすすめです。ただし、レバーの形状など異なる点もあります。
ユーゴはソ連製RKG-3のコピー品も生産していたため、そのレプリカを購入するのもよいでしょう。

ライフルグレネードも同じく入手困難ですが、アダプターについてはLCT社製レプリカがフラッシュハイダーとして販売されています。

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(※写真は訳者らによる仮装例です)

・おわりに

読者の皆さんは、当ブログ記事内はもちろん、海外の画像掲示板やYouTubeの動画、雑誌などで様々な個人装備を身につけたスルプスカ共和国軍兵士たちの写真を目にしてきたと思います。

装備を厳格に統制している一部の精鋭部隊を除けば、率直に言って個々人の軍装例の細かい違いに具体的な意味を見出すのは極めて困難です。

マガジンポーチは右につけるのか左につけるのか?
ベルトはどのくらい締めて、どんな種類のパーツをいくつ身に付けたらよいのか。
写真や動画で実例を観察したり、実際に身に付けてサバイバルゲームに出かけたりして、自己流のアレンジを楽しんで下さい。

一連のエントリーが、少しでも皆さんの軍装コレクションの助けになれば幸いです。


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・奥付

Balkan Wars Living History Group 著

林撫腔こと林鳥巣 編訳 



■ちなみに

今年2015年11月に開催予定のヒストリカルゲームボスニア199X、参加者募集中です。
お問い合わせ・参加のお申込はリンク先メールアドレスまで。
お待ちしております!  

Posted by セルビやん at 19:05Comments(0)兵器スルプスカ共和国

2015年05月06日

セルビア軍装基本のキ!(十一)VRSの個人装備



VRSの兵士たちが身につけていた個人装備は一般に製造元も素材もばらばらで、非常に雑多な上多くの場合かなり凝った個人改造が施されていました。

leather

1992年内戦勃発時には人民軍の残置した旧式の革製ウェブベルトと各種ポーチから成る革製装備が主体でしたが、1995年終戦までにはナイロン製へと更新されてゆきました。



時には米国製のALICEベルトが使用されることもあったようです。



将校達は好んでユーゴ時代と同様のサムブラウンベルトを巻いていました。
もっとも、画像のように邪魔な斜革は付けずに済ます場合も多かったようです。



当初はこれらベルトとサスペンダー、各種ポーチを組み合わせたサスペンダーキットが主流でしたが、戦争が長引くにしたがってアサルトベストやチェストリグなどより実戦的な装備へと更新されてゆきます。

overall

とにかくさまざまな職人や工場がてんで勝手に装備を製作していたため、これらの戦時製造個人装具は殆ど品質管理そのものが存在しない粗悪品から素晴らしく現代的且つ頑丈なタクティカルギアまで、まさに玉石混淆といった有り様でしたが、その中でも代表的なのが「アルカンタイガーベスト」として知られるM91タクティカルベストです。



実際にはセルビア義勇親衛隊(=アルカンの虎)だけでなくVRS全軍に広く普及している装備品でした。
当時最新のトレンドを十分に取り入れた現代的なベストで、後にはコソヴォ紛争でも連邦軍やセルビア警察特殊部隊、民兵などによる着用例があります。



内戦初期に一般的だったのは、M77ハーフコート改造アサルトベストです。



このベストはスルプスカ共和国軍の創意ではなく、古くはクロアチア内戦初期最大の激戦、1991年のヴコヴァル包囲戦でユーゴスラヴィア人民軍により近似の改造品着用例が確認されています。

Balkan Wars Living History Group著
セルビやんこと林鳥巣訳




■ちなみに

今年2015年11月に開催予定のヒストリカルゲームボスニア199X、参加者募集中です。
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Posted by セルビやん at 00:53Comments(2)スルプスカ共和国個人装備