2015年05月03日
セルビア軍装基本のキ!(二)M89オークリーフ迷彩
2.M89オークリーフ迷彩
最も代表的且つ現在日本国内でも入手の容易な迷彩服は、なんといってもM89カモジャケットでしょう。
セルビアリザード迷彩(※この迷彩服については後ほど別途説明します)の上にこの人民軍残置M89カモジャケットを羽織った姿は、ボスニア紛争の全期間を通じて極めて広汎に見られる軍装例です。
元兵士達の証言によれば、多くのVRS兵士達はM89カモジャケットを無償で支給され、リザード迷彩服は自弁で購入していました。
紛争後期になるとリザード迷彩がより普及し、M89迷彩の出番は少なくなったものの、終戦後も継続して使用されることとなります。
注意すべきは、M89タイプのジャケットをコソヴォ紛争(1998~1999)期に広く使われた「M93カモジャケット」と混同してはいけないという点です。
ユーゴスラヴィア連邦国で1993年に生産が開始されたこのジャケットはボスニア及びクロアチア紛争においては着用例が極めて少なく、結論から言えば両紛争の軍装再現には全く場違いなアイテムです。
上図は、M89タイプのジャケットとM93ジャケットのちがいを表したものです。
左の迷彩服がM89、右がM93となります。
裁断やポケットの位置・種類など、全く違う特徴を持った軍服であることがわかります。
迷彩柄の細かい色味の違いも非常に重要です。
1996年以前に製造されたロットを選ぶのが最も正しい選択であるといえるでしょう。
M89裁断のカモジャケットは2000年代初頭に入っても多数が生産され続け、迷彩パターンは毎年変更されました。
初期のM89迷彩は茶色が強く、時代が下るにつれてより青緑色がかった色合いへと変化してゆきました。
ユーゴスラヴィア連邦軍が残置・製造供与したものとは別に、スルプスカ共和国領内のセルビア人達も自力で同じ迷彩柄で米軍M65ジャケットを模倣した裁断の迷彩服や、裏地にボアのついた傍観ベストも独自に製造していました。
M89迷彩服にはトラウザーズも存在しますが、もちろん上下ともに時代考証に適合する正しい迷彩柄で揃えるべきなのは言うまでもありません。
同迷彩柄のハーフコートについては別項で述べます。
Balkan Wars Living History Group著
セルビやんこと林鳥巣編訳
■ちなみに
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Posted by セルビやん at 17:33│Comments(0)
│スルプスカ共和国