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Posted by ミリタリーブログ at

2013年05月27日

アルバニア軍チェストリグ考



スルプスカ共和国にいる知人から、アルバニア軍のチェストリグを手に入れることができました。



アルバニア軍やUCK(コソボ解放軍)の写真・映像資料から、「中国軍の五六式弾帯にそっくりだな。トグルボタンも似てるなあ」などと素朴に考えていたのですが・・・



中国軍のがっしりしたキャンバス生地とは似ても似つかない、織りが荒くヨレヨレと柔らかいコットン生地・・・。



第三世界の軍隊でよく見る英軍P58の劣化コピーに近い?印象です。
ミャンマー軍あたりのコットン装備と並べて比較してみたくなります。


裏面には検定印もタグもありません。
ポーチのフラップ裏などくまなく探しましたが、残念ながら全くの無銘のようです。


トグルボタンの特徴も五六式弾帯とは大きく異なることがわかります。
まず材質は木製ではなく樹脂でできています。
仕上げは荒く成形時のバリが残ったまま、コンニャクのような濁った色をしています。
きれいな仕上げの中国製とは対照的ですね。

直径は1cm程度とほぼ同じですが、五六式弾帯のそれが2.6cm程度の長さであるのに対し、アルバニア軍用は3cmとサイズはやや大きめです。

また先の尖った双円錐型の五六式弾帯用に対し、両端が丸い半球になった円柱状とかたちも全く違います。ソ連軍のRD-54やリフチクのフラップに採用されている樹脂製トグルボタンの肥満児Ver.といった印象です。



コソボ紛争の画像を漁ってみると、もっと真っ黒な色やよりOD色のように見えるボタンが使われている場合もあるようです。
後者については単なる写真の発色の違いで、実際には私が入手したのと同じ色の可能性もありますが・・・いくつかバリエーションがあるのかもしれません。



このチェストリグのユーザーは、実はアルバニア人サイドのみに留まりません。



紛争初期、やたらと目立つ青い迷彩服と軍用小火器(ツァスタバM70/M84他)を渡されただけで、満足にアサルトベストもボディーアーマーも支給されず火砲の支援すらないまま現地に派遣され激しい銃撃戦に晒されたユーゴスラビア警察のおまわりさん達は、ベスト類を自作したり、敵であるコソボ解放軍から装備を鹵獲して使っていました。

写真のものは、トグルボタンの色も含め今回入手したものにとても近いタイプですね。

何の因果か日本人ミリオタの手に落ち、これからあろうことかサバイバルゲームやらコスプレ撮影会やらといったお遊びに引き回される運命にあるこのチェストリグも、実はユーゴ(セルビア)側が鹵獲した品とのこと。

そのうちスイス軍やドイツ軍の迷彩服、コソボ解放軍の徽章などを揃えてUCK装備を楽しみたいのはもちろんですが、ユーゴ/セルビア贔屓の筆者としては、まずはいの一番写真と同様M91ブルーリザード迷彩と合わせてユーゴ警察装備に「悪用」したいと思います(笑)。
幸いブーツや手錠以外は必要な装備も既に入手済みですし・・・。

そういえば同じ知人から譲って貰った名札付きのボスニア軍ヘルメットカバーも鹵獲品という話でした。
ボスニア内戦時、スルプスカ共和国軍の兵士として戦闘に参加した彼のお父さんがある山岳地帯でボスニア軍と戦って生還した際、おみやげとして持って帰ったものだそうです。
そちらはかなり生々しく「戦闘の激しさを物語る」状態なので、このブログで御紹介するかどうかはわかりません。機会があればまたそのうちに。



1999年4~6月コシャラの戦いの記録映像(コソボ解放軍サイド)。
NATO軍機による空爆に晒されながらも、ユーゴスラビア連邦軍がコソボ解放軍の攻勢を挫いて勝利した戦闘です。
6:20行進シーン他、アルバニア軍チェストリグが頻出します。
他にもクロアチアやボスニア製のアサルトベストを着ているのがわかりますね。
この動画には登場しませんが、コソボ解放軍を支援していたトルコ軍の官給AK用ベストやブルガリア軍スプリンターカモチェストリグなども着用例が確認されています。
  

Posted by セルビやん at 05:18Comments(0)コソヴォ