2015年12月11日
クロアチア軍装基本のキ!(三)個人携行火器
3.クロアチア人勢力の個人携行火器
軍服・装具類よりも更に複雑怪奇を極めたのが銃器類です。

7.62X39弾を使用するありとあらゆるAK系自動小銃が投入されました。

国産のM70自動小銃、ルーマニア製PM md. 63/65、そして中国製の56式小銃がその代表例です。
M70は「ライフルグレネードの発射機構が弾道に干渉するため命中率が悪い(高部正樹氏、ツイッターでの発言、2015)」、ルーマニア製AKMは「弾倉数個分を続けて撃つとバレるが溶ける傾向にあった(ロブ・クロット「傭兵 狼たちの戦場」)、2011」などそれぞれに悪評があったようです。

M70の他にも様々な小火器が古い兵器庫から持ちだされました。

モーゼル系のボルトアクションライフルでは旧王制時代の制式小銃M24/47、その後継の人民軍戦後最初期制式小銃M48が大半でしたが、 中にはWW2当時ドイツから鹵獲した本物のKar98すらあったということです。
ロブ・クロット氏はM48の命中精度を激賞しています。

短機関銃としてはトンプソン、PPSh-41、MP40、ユーゴ国産のM49、M57。

機関銃としてはM2HB重機関銃、M1919、ZB26、MG42やそのユーゴ版のM53シャラツが一般的でした。

ダブルバレルやポンプアクションのショットガン、ハンティングライフルといった多様な猟銃が投入されました。
市街戦では消音銃も使われています。
これらについても詳細はARBiHの項目をご参照下さい。
言うまでもないことですが、短機関銃や散弾銃はあくまで限定した都市戦闘に用いられるのでなければせいぜいが護身用火器といった扱いでした。
半自動小銃M59/66と同様にこれらの二線級兵器は射撃の下手な予備役の老人達に回されがちだったという証言もあります。
高部正樹氏もロブ・クロット氏もこうした小火器については射程の不足から評価に値しないものと捉えていたようです。
後者はVz61やソウドオフショットガンの部類を、飲み屋で粋がった憲兵が振り回す定番の危ないおもちゃだったとしています。

同じくただのお飾り・お守り・物騒な喧嘩の道具として語られているのが拳銃です。
ユーゴ製M57をはじめとする各国製トカレフ、チェコスロバキア製Cz52、Cz50、スペイン製スター9mmなど・・・ロブ・クロット氏は入手出来る中では最良の拳銃としてCz75を褒め称えています。
画像のように各種の回転式拳銃もありました。
ロブに言わせれば「ここの男たちは本当にピストルとナイフがすきだ」。
実用面はともかくとして、文化的な要素もあったようです。

外国製小火器は主にスロヴェニアを経由して輸入されていました(※画像は十日戦争時のスロヴェニア)。

自動小銃としてはH&K G3、FAL、軽機関銃ではRPD、RPKなど・・・、

わけてもアルゼンチン製FALは命中精度がよいと評判で、米国人傭兵ロブ・クロットはユーゴでの活動中常に機会があれば入手したいと願っていたものの、一度FALを手にしたクロアチア兵は絶対に手放さないためついに叶わなかったと語っています。

少数ではありますがM16A2やUZI、ウルティマックス軽機関銃やSAR80自動小銃といったシンガポール製銃器、そしてヴェクターR4もよく知られている例です。
SAR-80は、射撃性能は優秀だが地面に落としただけでもストックが壊れるほど脆いと不評だったようです。

対戦車火器としてはスロヴェニアから提供された人民軍の各種兵器に加え、外国製RPG-7やアームブラスト・・・RPG-22も戦場写真によく登場します。
ロブ・クロットはボスニアでAK74を鹵獲した際「これこそロシアのスペツナズが関与している証拠だ」と感動したそうですが、ではクロアチアのソ連製火器はどうなのか?と考えると疑問符のつくコメントではあります。
まあ実際ロシア人義勇兵は沢山いた訳ですが。
参考文献
並木書房刊 高部正樹著 「戦争志願 アフガン・カレン・ボスニア最前線」
原書房刊 ロブ・クロット著「傭兵 狼たちの戦場」
ほか
Special thanks to Balkan Wars Living History Group
セルビやんこと林鳥巣 編訳・追補
■ちなみに
今年2015年11月に開催されたヒストリカルゲーム「ボスニア199X」。
2016年に第二回開催を予定しています(日時未定)。
お問い合わせは以下メールアドレスまで。
yugowar199xアットマークgmail.com ※アットマークを@に変えて送信お願いします。
タイトルは「ボスニア199X:参加希望」とお書きください。
軍服・装具類よりも更に複雑怪奇を極めたのが銃器類です。

7.62X39弾を使用するありとあらゆるAK系自動小銃が投入されました。
国産のM70自動小銃、ルーマニア製PM md. 63/65、そして中国製の56式小銃がその代表例です。
M70は「ライフルグレネードの発射機構が弾道に干渉するため命中率が悪い(高部正樹氏、ツイッターでの発言、2015)」、ルーマニア製AKMは「弾倉数個分を続けて撃つとバレるが溶ける傾向にあった(ロブ・クロット「傭兵 狼たちの戦場」)、2011」などそれぞれに悪評があったようです。

M70の他にも様々な小火器が古い兵器庫から持ちだされました。

モーゼル系のボルトアクションライフルでは旧王制時代の制式小銃M24/47、その後継の人民軍戦後最初期制式小銃M48が大半でしたが、 中にはWW2当時ドイツから鹵獲した本物のKar98すらあったということです。
ロブ・クロット氏はM48の命中精度を激賞しています。
短機関銃としてはトンプソン、PPSh-41、MP40、ユーゴ国産のM49、M57。
機関銃としてはM2HB重機関銃、M1919、ZB26、MG42やそのユーゴ版のM53シャラツが一般的でした。

ダブルバレルやポンプアクションのショットガン、ハンティングライフルといった多様な猟銃が投入されました。
市街戦では消音銃も使われています。
これらについても詳細はARBiHの項目をご参照下さい。
言うまでもないことですが、短機関銃や散弾銃はあくまで限定した都市戦闘に用いられるのでなければせいぜいが護身用火器といった扱いでした。
半自動小銃M59/66と同様にこれらの二線級兵器は射撃の下手な予備役の老人達に回されがちだったという証言もあります。
高部正樹氏もロブ・クロット氏もこうした小火器については射程の不足から評価に値しないものと捉えていたようです。
後者はVz61やソウドオフショットガンの部類を、飲み屋で粋がった憲兵が振り回す定番の危ないおもちゃだったとしています。

同じくただのお飾り・お守り・物騒な喧嘩の道具として語られているのが拳銃です。
ユーゴ製M57をはじめとする各国製トカレフ、チェコスロバキア製Cz52、Cz50、スペイン製スター9mmなど・・・ロブ・クロット氏は入手出来る中では最良の拳銃としてCz75を褒め称えています。
画像のように各種の回転式拳銃もありました。
ロブに言わせれば「ここの男たちは本当にピストルとナイフがすきだ」。
実用面はともかくとして、文化的な要素もあったようです。

外国製小火器は主にスロヴェニアを経由して輸入されていました(※画像は十日戦争時のスロヴェニア)。

自動小銃としてはH&K G3、FAL、軽機関銃ではRPD、RPKなど・・・、

わけてもアルゼンチン製FALは命中精度がよいと評判で、米国人傭兵ロブ・クロットはユーゴでの活動中常に機会があれば入手したいと願っていたものの、一度FALを手にしたクロアチア兵は絶対に手放さないためついに叶わなかったと語っています。

少数ではありますがM16A2やUZI、ウルティマックス軽機関銃やSAR80自動小銃といったシンガポール製銃器、そしてヴェクターR4もよく知られている例です。
SAR-80は、射撃性能は優秀だが地面に落としただけでもストックが壊れるほど脆いと不評だったようです。

対戦車火器としてはスロヴェニアから提供された人民軍の各種兵器に加え、外国製RPG-7やアームブラスト・・・RPG-22も戦場写真によく登場します。
ロブ・クロットはボスニアでAK74を鹵獲した際「これこそロシアのスペツナズが関与している証拠だ」と感動したそうですが、ではクロアチアのソ連製火器はどうなのか?と考えると疑問符のつくコメントではあります。
まあ実際ロシア人義勇兵は沢山いた訳ですが。
参考文献
並木書房刊 高部正樹著 「戦争志願 アフガン・カレン・ボスニア最前線」
原書房刊 ロブ・クロット著「傭兵 狼たちの戦場」
ほか
Special thanks to Balkan Wars Living History Group
セルビやんこと林鳥巣 編訳・追補
■ちなみに
今年2015年11月に開催されたヒストリカルゲーム「ボスニア199X」。
2016年に第二回開催を予定しています(日時未定)。
お問い合わせは以下メールアドレスまで。
yugowar199xアットマークgmail.com ※アットマークを@に変えて送信お願いします。
タイトルは「ボスニア199X:参加希望」とお書きください。